野草の代表格である、蓬(ヨモギ)は、昔からヨモギ餅、お灸の艾(もぐさ)、端午の節句の菖蒲湯(しょうぶゆ)など、日常生活の中で幅広い使われ方をしてきました。
薬草としては、飲用として、塗布薬として、浴湯用として、お灸用として、アロマ用として、以上の5つの用途があることから、五拍子揃った天然草として親しまれてきました。
今回は、ヨモギの飲み方、食べ方、塗布の方法、浴湯の方法、灸についての効果効能について解説します。
ヨモギの特徴と採取
春になると、北海道を除く日本全国の平地や山地の原野、道端、丘陵地などに若芽を出し、夏に掛けて生い茂るように群生します。草丈は50cm~80cmにまで生長します。
ヨモギの葉の表面は鮮やかな緑色ですが、裏面は白っぽい細かな毛で覆われています。ヨモギはキク科の植物のため、独特の香りがあります。
もぐさとして用いる場合は、5月頃までの若い芽や葉を摘んで使用します。そして、煎じたり、浴湯などのその他の目的で用いる場合は、6月~7月ころに採取します。
ヨモギの使い方
上述したようにもぐさで使用する場合は主に若芽を摘んで用いますが、その他の場合は地上部の全草を使用できます。
煎じて用いたり、浴湯用として用いる場合は、天日干しで天然乾燥をして使用します。内服用、塗布用、または生食用の場合は、生のまま調理をしたり絞ったりして使用します。
煎じ法(一)
- 乾燥した葉や茎5g~8gをコップ3杯の水で煎じます
- 一日3回に分けて服用します
- 効果:浄血作用、解熱、腹痛、生理痛、子宮出血
煎じ法(二)
- 乾燥させた葉3g~5gをコップ1杯の水で煎じて飲用します
- 効果:解熱、動脈硬化 など
内服法
- きれいに水洗いして水気を取ります
- 生葉の絞り汁を飲用します
- 効果:扁桃腺炎
塗布法
- 生の葉の絞り汁を患部に塗ります
- 効果:虫刺され、かゆみ止め、切り傷
浴湯法
- 茎葉をお茶パックや布袋に入れ浴槽に浸して使用します
- 効果:保温効果、腰痛、打ち身、消炎、美肌効果
お灸法
もぐさをお灸にすると、保温効果で身体が温かくなるだけではなく、白血球が増加して血行促進になります。
ヨモギの食べ方
若芽を摘んで、熱湯で軽く茹でた後、水に晒しておき、アクを抜きます。その後下記のような料理に調理します。また、天ぷらにする場合は、若葉の先端部分をそのまま油で揚げます。
- 和え物
- 油炒め
- 味噌汁や吸い物の具
- ヨモギ餅(草餅や草団子)
- ヨモギご飯
- 天ぷら
ヨモギの薬用効果
- 止血作用(鼻血、痔、子宮出血)
- 浄血、補血、動脈硬化(血液サラサラ)
- 頭痛、腰痛
- リューマチ
- 腹痛、便秘、下痢、整腸作用
- 打ち身、疝気
- 解熱
- 喘息、去たん
- 滋養強壮
- 利尿効果
- 保温効果
- 美肌効果
食用ヨモギのまとめ
項目 | ヨモギ |
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分類 | キク科ヨモギ属 |
学名 | Artemisia indica var. maximowiczii |
生薬名 | 艾葉 |
場所 | 日本全国の平地や山地 原野、道端、丘陵地 |
採取時期 | 若葉:5月 全草:6月~7月 |
大きさ | 草丈:50cm~80cm |
薬用部位 | 地上部の全草 |
調製法 | 煎じる場合は天日乾燥 生食はアク抜きが必要 |