春の山菜と言えば、ワラビやゼンマイをイメージする方も多いでしょう。春先の里山では、毎年、ワラビ狩りが盛んです。今回は、主にワラビの下ごしらえの際に注意したいことと、食用した時の効果について解説します。
春先に芽を出すワラビの形状は、先端を傾けるように地上から数十センチ姿を現します。そして、根本付近からポキッと折って採取します。
そのため、ワラビの食用部分は茎だと思っている方も多いと思います。実は、ワラビの若芽で地上に出ている部分は葉の部分にあたります。
つまり、先端の部分が葉でその下の部分は葉茎になります。ワラビの茎は地下茎を形成しますので、地下に埋まっていることになります。秋になると、地下茎も良質のデンプンを蓄えるため、食用されます。
ワラビの特徴と採取
日本全土の平地から山地の日当たりの良い場所に群生するように繁殖します。例えば、草地、丘陵、あるいは原野などに自生し、木が生い茂ってない場所に多く生えます。
地下茎は黒っぽい根茎を形成し、長いものは数メートルにも生長します。春になると、この地下茎からこぶしのような形状で、新芽をたくさん出します。
実は、これがワラビの若葉になります。この若葉が生長して、葉が開いて大きくなると、1メートルもの大きさになる場合もあります。
ワラビの使用法
ワラビを採取後に、天日干しして自然乾燥します。その後、適度な大きさに刻んで、煎じて飲みます。
あるいは、生の葉の絞り汁を、塗布して患部に塗ることもあります。
また、ワラビを生で食べる場合は、しっかりとアク抜きする必要があります。アクには発がん物質が含まれている研究もあるため、適切な下ごしらえが必要です。
煎じ方
- 天日乾燥したワラビ10g~15gをコップ2杯の水で煎じます
- 一日3回に分けて服用します
- 効果:利尿作用、整腸作用
塗布方法
- 生の葉(葉柄)を潰して、絞り汁をとります
- 絞り汁を患部に塗ります
ワラビの食べ方
春から夏くらいまで、葉の開かないコブシ状の若芽を根元付近の柔らかい部分から、折って採取します。
ワラビの下ごしらえとして、必ずアク抜きして、十分に水に晒してから調理します。一般的なアク抜きの方法は、下記の通りです。
アク抜きの手順(重曹)
- ワラビはあらかじめ、根元の硬い部分を取り除いておきます
- 大きめの鍋に沸騰した熱湯に重曹小さじ1を加えます
- ワラビを鍋に入れて、10秒程度茹でます
- 火を止めて、そのまま冷めるまで放置します
- 茹でたワラビを水で濯いで調理します
アク抜きの手順(重曹がない場合)
- ワラビはあらかじめ、根元の硬い部分を取り除いておきます
- 大きめの鍋に沸騰した熱湯に小麦粉大さじ7と塩小さじ2を加えます
- ワラビを鍋に入れて、3分程度茹で、火を止めます
- 茹でたワラビを10分程度、水に晒します
ワラビ料理
- 和え物
- おひたし
- 味噌汁やお吸い物の具
- 油炒め
- 煮物
- 混ぜご飯
茹でたワラビの栄養成分
- β-カロテン:強い抗酸化作用、動脈硬化やがん予防
- ビタミンB2:新陳代謝の促進、美容効果
- ナイアシン(B3):水溶性ビタミンの一種
- ビタミンE:抗酸化作用、老化防止、動脈硬化やがん予防
- 葉酸:貧血予防、赤血球を作り出すのに必要な栄養素
- マグネシウム:酵素の働きに作用、三大栄養素に作用するミネラル
- カルシウム:骨や歯を作り出す必須栄養素、神経の働きに作用、精神安定効果
- カリウム:ナトリウム吸収の調整、高血圧防止
- リン:骨や歯を作り出す必須栄養素、エネルギー代謝や脂質代謝にも作用
- 鉄分:赤血球を構成する成分、貧血予防
食用ワラビのまとめ
項目 | ワラビ |
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分類 | コバノイシカグマ科ワラビ属 |
学名 | Pteridium aquilinum |
生薬名 | 蕨 |
場所 | 日本全国の平地や山地 日当たりが良い場所 |
採取時期 | 葉 : 春 地下茎:秋 |
大きさ | 葉の長さ:50cm~1m |
薬用部位 | 葉、地下茎 |
調製法 | 葉と地下茎は天日乾燥 生の場合はアク抜き必要 |