初めての麹作りをして見事に失敗しました。結論から言うと、種麹のカビが米に完全に繁殖しないで、最終的にお米はパラパラした状態で中途半端に麹菌が繁殖した状態でした。
一粒一粒の米を見ると部分的に白くなっており麹菌が繁殖しているところがあり、匂いはほんのりと甘みを感じる程度にありましたが、何とも中途半端な状態になってしまいました。
今回は米麹作りに際して、インターネットの検索で得た知識で、準備したもの、麹作りで実施したこと、初めて麹作りをして気が付いたこと、初めての麹作りでは上手に麹カビが上手に繁殖しなかった理由、をご紹介します。
麹作りに必要なもの
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- 種麹
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- お米
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- 蒸し器
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- ザル
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- さらし布(和ふきんで代用)
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- しゃもじ
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- 茶漉し
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- 温度計
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- バット・寿司桶・おひつ(大きい器)
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- クーラーボックス&湯たんぽ(ホットカーペットとダンボールで代用)
麹作りのプロセスと実施したこと
- 材料と道具を揃えて準備する
- お米を洗う
- お米を水に浸す(20時間)
- お米の水切りをする(4時間)
- お米を蒸す(40分)
- 種麹を付ける(素早く)
- 保温する(20時間)
- 麹の手入れ(切り返し1)(5時間)
- 麹の手入れ(切り返し2)(5時間)
- 麹の手入れ(切り返し3)(5時間)
- 麹の手入れ(切り返し4)(20時間)
- 麹の手入れ(切り返し5)(5時間)
- 出麹
本来は、麹に手入れをする切り返しは3回程度で充分なようですが、3回目の手入れでも麹カビの繁殖が少なかったため、最後の悪あがきでもう一晩、加温して麹菌の繁殖に期待することにしました。
ところが、その後、麹菌の繁殖はそれ程進みませんでした。この時点で、麹の香りはほんのりとした甘酒のような感じでしたが、これ以上保温を続けても、麹カビが増殖する雰囲気が無かったため、そのまま出麹をすることにしました。
一般的には、48時間で麹は出来上がるとされていますが、実際には準備を始めてから3日間60時間程度の私の初めての麹作りの格闘は終焉しました。
初めて麹作りをして気が付いたこと
- 必要な道具類は予めアルコール消毒で準備をしておく
- 米を蒸した後、種麹を付けるまでのプロセスは手際良く
- 電気蒸し器で米を蒸す場合は蒸し時間を充分に取る
- 数時間毎に温度を計測して温度管理を小まめにする
- 前日あるいは前々日から納豆を食べるのを控える
必要な道具類は予めアルコール消毒で準備をしておく
蒸した米に種麹を振り掛ける際に、必要なバッドなどの容器類やシャモジ、あるいは手ぬぐいなどの道具類は予め納豆菌を含めた雑菌を除去するために清酒などのアルコール類で消毒をするか、熱湯で殺菌処理をしておきましょう。作業直前になって、消毒していないものがあったりするとアタフタして、スムーズに作業が進められません。
米を蒸した後、種麹を付けるまでのプロセスは手際良く
お米を蒸した後、種麹を付ける作業は、実際にやってみると、手際良く進めないと、特に冬場の作業では直ぐに蒸したお米が冷めてしまったり、お米が乾燥して種麹が上手に米の表面に付着しなくなってしまいます。このプロセスを手際良く出来るかどうかにより、麹の繁殖の進み具合が決まると言ってもよいでしょう。
電気蒸し器で米を蒸す場合は蒸し時間を充分にとる
お米を蒸す場合は高温で蒸すのが最も良い方法ですが、餅つき機などの電気蒸し器で蒸す場合は、蒸す時間を少し長く取ったほうが良いということが分かりました。初めに麹作りをした時には蒸す時間が短すぎて、お米が充分に蒸されていなかったため、種麹があまり上手に米の表面に付着しないで、上手に麹菌が繁殖しませんでした。
数時間毎に温度を計測して温度管理を小まめにする
麹作りで最も重要なことは温度管理だと言われています。実際に、麹作りをして分かったことですが、温度は上がり過ぎてしまった場合(40度以上)は麹以外の納豆菌などが活動し始め、麹菌が死滅してしまい、温度があまり上がらない場合は麹菌の活動が充分ではなく、あまり麹菌が増殖しないため、中途半端な麹になってしまいます。
前日あるいは前々日から納豆を食べるのを控える
後から気が付いたことですが、麹作りの前日に納豆を食べてしまっていました。納豆菌は菌類の中では最強と言われるくらい強い菌のため、麹作りには難敵になります。そのため、麹の仕込みをする場合は、前々日くらいから、せめて前日からは納豆を食すことは控えた方が良いでしょう。
麹作りに失敗した! 麹カビが繁殖しなかった理由
- 米を蒸す時間
- 蒸した米の硬さ
- 種麹の使用量と使用方法
- 麹菌の種付け方法
- 温度管理
- 湿度管理
米を蒸す時間
始めて麹作りをした時には、お米をどれくらいの時間、蒸せばよいのか分かりませんでした。
その時は、電気餅つき機で蒸したため、もち米を蒸す要領で蒸したのですが、蒸す時間あるいは蒸す温度が少し低かったようでした。そのため、蒸した後の米粒の硬さは少し硬めになっていました。これも始めての麹作りで上手に麹が繁殖しなかった要因だったのでしょう。
蒸した米の硬さ
上記のように蒸し時間、あるいは蒸す温度が低い状態で、蒸し上がった米は指で押し潰すと、何とか潰れる程度でした。蒸したお米には芯がなかっため、大丈夫だろうと思っていたのですが、硬すぎる米では麹菌が米の内部まで繁殖しません。
本来は、耳たぶくらい柔らかくなる程度が麹作りには理想的な米の硬さだとされています。お米がある程度柔らかくなるくらいまで蒸すことが上手に米麹を作るポイントです。
種麹の使用量と使用方法
種麹の使用量は蒸すお米の量によって決まりますが、初めて麹作りをする場合は少し多めに麹を使うと失敗しないと言われています。最初に米麹を作った時には、説明書に書かれている分量の種麹を使用しました。その結果、上手に麹を作ることが出来ませんでした。やはり、初めて麹作りに挑戦する場合は、少しだけ多めに種麹を使用したほうが良さそうです。
それと、もう一つ気が付いたことは、数グラムの種麹は量としては非常に少ないため、数キロの蒸し米に満遍なく振り掛けて付着させるには少し無理があるように感じました。そこで、種麹に米粉を混ぜることで、出来るだけ均等に種麹を付けることが出来ます。二度目の麹作りではこの方法で上手に麹菌を繁殖することが出来ました。
麹菌の種付け方法
麹菌を蒸し米に種付けする方法で重要なことは、お米の表面に種麹を均一に付着させることです。そして、もう一つのポイントはお米の表面に傷を付けることで麹菌がお米の内部に繁殖しやすくすることです。
そのため、種麹を茶漉しなどで均一に振り撒いた後、両手で蒸し米を軽く揉むように擦り上げる作業が必要です。ただ単に、種麹を降り掛けただけでは、麹菌の種付けとしては不十分でしょう。
蒸したお米の温度があまり下がらないように手際良く、お米全体を満遍なく種麹付けをすることが失敗しない麹作りのポイントなのでしょう。
温度管理
種麹を十分に種付けた後は温度管理が重要なポイントになります。初めて麹作りをした時には、あまりにも温度が高くなってはダメだと思い、少し控えめ(低め)の温度にしました。
最初は問題なかったのですが、途中から麹菌の活動が弱くなったのか、麹菌の発酵による温度の上昇がみられなくなってしまいました。この時点でほぼ失敗が確定しました。
この経験から分かったことは、種付け直後の20時間程度は少し温度を高めにして、麹の自発的な発酵を促したほうが麹作りにはよいのではないかなということ。
冬であれば、麹作りの際の加温および保温方法は、コタツが最も手軽な方法でしょう。初めての麹作りでは下記のような保温方法を採りました。
手拭い(綿布) / 米袋 / ビニール袋 / 毛布 / ダンボール箱 / ホットカーペット
ダンボール箱の中には一番上に湯たんぽを乗せ、保温カーペットの上にダンボール箱を乗せておきました。上記の方法ではビニール袋を使用したことで、通気が悪くなったことも失敗の要因だったのでしょう。
二度目の麹作りで成功した時には、
手拭い(綿布) / 米袋 / ビニール袋 / 毛布 / 風呂敷 / コタツ
上記のように、毛布で包んだものを風呂敷で縛り、コタツの中に一日中入れて保温しておくという方法に切り替えました。これで、麹作りに成功しました。
湿度管理
初めての麹作りで最も盲点だったポイントが湿度管理でした。蒸した米に種麹を付けて保温のプロセスに入った時には米からの湿気もあり、水気が若干多過ぎかなというくらいでしたが、一回目、二回目の手入れの時には次第に米を触った感触では湿気が足りなくなっていました。
それにも関わらず、米袋の外側にはビニール袋(大き目のゴミ袋)を被せていたため、ある程度湿度は保っていたと勘違いしていました。後で気が付いたことですが、ビニール袋を被せたことで、酸欠になってしまった可能性もあり、自然の湿度が維持できていなかったのかもしれません。後に麹作りで実施したことのポイントを整理すると、初めての麹作りでは上手く出来なかった要因がよく分かります。
そして、その後の麹作りでは、ビニール袋を使用することは止めて、米麹を包んだ手拭いの外に、もう一枚の手拭いを包んで湿度調整をすることにしました。これで、湿度管理は上手くいきました。
以上、初めての麹作りで上手に作ることが出来なかった経験から失敗の要因を整理してみました。皆様が麹作りをされる際の参考になれば光栄です。
二度目の麹作りで成功したプロセスを画像で解説
一度目の失敗を糧に失敗要因を成功要因にするために麹作りの作業やプロセスを再検討しました。その主なポイントは上記で挙げた失敗要因の繰り返しになりますが、下記の通りです。
- お米はじっくりと長めの時間で蒸す
- 麹菌を満遍なくお米に振り掛けるため米粉を使用
- 種切り(種麹を振り掛けること)の際には米を両手で揉む
- 温度管理は均等になるようにコタツを利用
- 湿度管理は湿った綿布で被い調整
麹作りの準備から種入れまでのプロセス
米は磨ぎ汁が濁らないようになったら20時間程度、水に浸します。
ザルに上げてムラがないように水切りをします。(均一に水切りが出来ていないと蒸し上がりにムラが出来てしまいます)
適量の種麹を計量し、種入れの準備をします。ここで、種麹の1.5倍量の米粉を加えて、均一に種入れが出来るように工夫しました。
電気餅つき機で一時間程度、米を蒸します。
下の画像は蒸しあがった後の様子ですが、おこわのように固まっていますが、手で解すと簡単にバラバラになります。
米を平らにして、蒸した米が40度以下になったら、種入れし、両手で米を揉み上げるようにして米の表面に傷を付けるようにします。
今回は下の画像のように、【綿布の手拭い+米袋+ブランケット+風呂敷】でまとめて、コタツの中で加温しました。
麹作りの一回目の手入れ
種入れ後18時間程度経過したら、一回目の手入れ(切り返し)をします。麹菌が少しだけ繁殖し、微かな甘い匂いが漂います。
固まった米を崩して平らにして、再び米同士を擦り合わせて、麹菌を均一になるように均します。
一回目の手入れで温度を計測してみると30度前後でした。思ったよりも品温(米の温度)は上がっていませんが、触れるとほんのり暖かく感じます。
麹作りの二回目の手入れ
一回目の手入れから5時間後に二回目の手入れをしました。
二回目の手入れでは米から麹への変化をビジュアル的にも香りでも感じます。米同士がくっ付き合い、米の表面は白色に変色しており、触れるとほんのりシットリとした湿っぽさを感じます。
2回目の手入れで温度を計測してみると、まさかの48度! 温度が上がり過ぎました。暫らく、米をバラバラにして温度を下げてから、湿度調整のためにもう一つの手拭いを包んで、再び米袋に入れて寝かせます。
麹作りの三回目の手入れ
二回目の手入れから5時間後に三回目の手入れをしました。
三回目の手入れで米の表面に花が咲き始めたのが見て取れます。
三回目の手入れで品温を測ってみると、42度~43度程度でした。
麹作りの出麹
三回目の手入れから8時間後くらいに出麹をしました。
画像では分かり難いかもしれませんが、米に輝くような白い花が咲いていました。
出麹では温度と湿度を下げるために、バッドのような容器に平らになるように麹を均します。
今回はダンボール箱に布巾のまま麹を平らに広げてました。数時間後に温度が下がり、シットリとした米麹が冬場の場合はそのまま放置をすれば自然乾燥します。
こうして出来上がった米麹は味噌作りの原材料と甘酒の原材料として使いました。味噌作りの様子は下記の記事をご覧下さい。