働き方の一つとして塾講師の仕事について、私の経験を踏まえて、ご紹介したいと思います。学習塾の塾講師の仕事は、大きく区分すると、個別指導型と集団指導型に分けられます。
個別指導型の授業は、先生と生徒が1対1あるいは1対2(または1対3の場合もあり)という形態で生徒の学習を指導します。基本的には、生徒の学習指導をする時には1対1で教える形式になります。一方、集団指導型の授業は、小学校や中学校などの授業と同じように、先生が複数の生徒の前で教壇に立ち、授業を進めていく形式になります。
私が勤務した学習塾の塾講師の仕事
私が経験した学習塾の塾講師の仕事は、個別指導型のアルバイトでした。学生時代に約1年間程度と社会人になってから約1年程度で、合計2年間程度携わったことがありました。私が勤めていた個別授業の学習塾は、1コマ1時間で2人から3人程度の生徒を同時に指導することが多くありました。
指導する教科も自分が教えやすい科目を中心に担当し、私の場合は英語(中学生・高校生)と数学(中学生)と社会(中学生)を担当していました。数学は、特に得意だというわけではなかったのですが、受講する生徒に対して教える先生の数が少なかったため、担当することになりました。どの学習塾でも同じだと思いますが、英語と数学を担当する先生の需要が高いようです。
塾講師のアルバイトの時給は低い!?
学習塾の講師のアルバイトの時給は1,000円~2,000円で平均すると1,500円程度となり、一般的なアルバイトの時給と比較すると高いようです。ところが、この時給は授業時間に対する給料になり、授業の準備や授業以外の事務作業などの時間には時給が支払われません。悪い言い方をすれば、授業以外の時間はサービス残業とも言えます。そのため、実際に働いている時間で時給を換算し直すと、時給は数百円になる場合も多くあります。
ただし、個別指導型の学習塾の場合は、授業準備に関わる時間は比較的少ないのが一般的です。というのも、個別指導の場合は講義をする必要がなく、プリント問題などを配布して演習による指導が多いためです。練習問題を配布して、授業時間中にマル付けなどの採点をして、間違っている部分を中心に解説するという流れになります。
正直言えば、学校での成績が良い生徒を担当する場合は、先生(自分)が教える内容を理解していなくても、生徒に教える必要がないため、誰でも出来る仕事だと思ったこともあります。つまり、練習問題を配布して採点をしていればよいだけです。逆に、学校での成績が良くない生徒の場合は、練習問題をさせても間違いばかりになり、教えることが多くなり、授業内では消化不良になる場合が多くあり大変でした。
言い換えると、担当する生徒が誰になるかにより、時間当たりの負担(時給)の価値が変わることも多くあります。理解力が速い生徒を担当し、授業前後の事務作業などにも慣れ効率良く時間を使うことが出来るようになると、実質的な時給が限りなくコマ当たりの時給に近づいていくことになります。そうなれば、一般的なアルバイトと比較しても、時給は高いと言えるかもしれません。
塾講師での勤務時間と時間の拘束
学習塾での勤務は、基本的に、夕方以降が多くなります。というのも、学校が終わってから生徒が学習塾に集まってきますので、小学校でも4時頃から始まることになります。中学校の場合でも部活などの課外活動を終えてからになりますので、夕方の6時頃以降の授業が多くなります。そして、一日の授業が終わるのは夜10時頃になります。そのため、塾講師のアルバイトは夕方6時から夜10時頃までの時間帯が勤務時間となります。休憩を挟みながら、その内の3コマ程度を担当することが多かった記憶があります。
私が勤務した学習塾は比較的、時間拘束が少なく、事務作業も少なかったため、授業開始前に練習問題のコピーなどを準備して、授業終了後は10分程度で教室長に簡単に報告する程度でした。巷では、授業前後に全ての講師を集めて、指導内容の報告などがあり30分程度は時間を拘束されるという情報もありますが・・・しかもこの拘束された時間には時給は支払われないと言うブラック事情です。このあたりは、応募をした時点あるいは面接時に確認しておいた方がよいでしょう。
また、学習塾が主導して実施するテストの時期には、採点作業があったりしました。私が勤務した学習塾では、アルバイト講師の場合は、採点作業の参加は任意でした。つまり、時間があれば参加して、その勤務時間は時給は少し安くなりますが支払われました。採点作業ではテストをマル付けして採点するだけも作業で、時給は1,000円だったと記憶しています。採点作業の仕事は数回してみましたが、参加している講師は専任講師ばかりで、しかも時間との戦いで、かなりピリピリした雰囲気だったため、簡単な作業で給料を貰えるのは良いのですが、その場に馴染めなかったため、数回だけで止めました。
塾講師のアルバイトがおススメな点は?
大学に合格できる程度の学力があれば、誰でも出来るアルバイトで、コンビニのアルバイトをしているよりも時給もよく、少しだけスペシャル感がありますね。大学生であれば、空いた時間でお小遣い程度のお金を稼ぐことが出来ますので、おススメではあります。ところが、大学を卒業後にアルバイトとしてするには、特別な目標がなければあまりおススメできる仕事ではないと思います。というのも、塾講師アルバイトでは1ヶ月の給料は、手取りでは多くても7~8万円程度です。
お金以外の目的があり、教えることに適性があれば、塾講師の仕事もよいかもしれません。例えば、塾で働いていた同僚は、専任講師で教室長でしたが、公務員試験を受験する転職組でした。公務員試験を受験したのですが不合格になってしまったため、再受験するために塾講師をしながら、公務員の受験勉強をしていました。結局、彼は希望通り公務員試験に合格して、そのまま公務員に転職していきました。
また、学習塾の講師にとって、お客さんは小学生、中学生、高校生になりますので、クレイマーのようなお客さんがいないため、ストレスを溜めることは少ないでしょう。また、専任講師の場合は、子供たちの親と面談をすることもありますが、塾講師であっても「先生」として接してきますので、リスペクトしてくれます。おもむろに非難するような親御さんは少ないため、ストレスを溜めることも少ないことでしょう。
最後に、このような学習塾では、現役大学生をはじめとした20代の方が多く働いていますので、雰囲気に馴染めば、楽しく働くことが出来ます。雰囲気が良い教室では、友人同士で働いているような状況になり、働くのも楽しくなります。授業が休みの日には同僚と一緒に遊びに行ったり、人によっては授業終了後、先輩からお誘いがありオイシイ思いをすることがあったりします。
塾講師アルバイトはブラック?勤務する上での注意点は?
上記でも述べましたが、「お金」と「時間」と「仕事内容」については、面接時にしっかりと確認しておくことが最も重要でしょう。
お金とは時給のことですが、1コマあたりいくらという基準で給料が支払われるのか、授業単位ではなく担当する授業の時間(分数)により時給が換算されるのか、の確認はしておくべきでしょう。
時間とは、給料が発生する時間は授業だけに限られるのか、採点などの雑務や事務作業の勤務時間はどれくらい取られるのか、そしてそれらの時間には給料が支給されるのかどうか、を確認しておくことも必要でしょう。
さらに、仕事内容に関して、基本的にはアルバイト講師は生徒の指導と簡単な報告程度の事務作業だけが仕事になります。学習塾も生徒が教室に来てくれて売上が上がり、その中から塾講師に給料が支払われます。つまり、生徒あっての学習塾と言うことになります。
場合によっては、生徒(あるいは親)への営業も仕事の一部としている学習塾もあるかもしれません。私が勤務した学習塾では、正社員の講師の場合は少しは営業ノルマ的なものがあるようでしたが、アルバイト講師には営業的な仕事はありませんでした。このような仕事内容も、働き始める前に、しっかりと確認しておいた方がよいでしょう。