1日の勤務15時間以上のブラック企業で働いた経験から学ぶ企業選びのポイント

私は20代の頃、お金を貯めてから一定期間働くことから遠ざかり、海外留学や資格取得を目指そうと考えていました。そのため、月給が良い仕事をしようと考え、某大手運送会社に入社することになりました。

その企業では待遇面においては、20代前半の若僧にとっては破格の年収で、新卒大学生の約2倍くらいのお給料を貰っていました。その反面、勤務時間は超絶なブラック企業ぶりで、1日平均15時間以上働くことになりました。運送会社のため物流が多くなる年末などの繁忙期には、日を跨いで実働時間が20時間を越える日があったことを思い出します。

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数十年前の大手運送会社の勤務実態と年収とは?

その企業では、トラックドライバーは営業を兼ねており、自分の担当するエリアで自ら顧客を開拓し、売上が上がれば上がるほど、3ヶ月毎に人事査定があり、それが直接、年収に跳ね返ってくるという人事考課制度を採用していたため、営業ドライバーとして勤務している方は、僅か数年で年収が8桁の大台に到達するような人も多くいました。その反面、勤務時間は毎日、早朝6時頃から夜10時過ぎまでの勤務が通例化していたので、体力のない人は即座に会社を退職していく状況でした。

そのような企業風土の会社で、私は大手運送会社の支店で事務職として勤務することになりました。私は、営業ドライバーとしてではなく、事務職として勤務していたのですが、肉体労働はそれ程多くはありませんでしたが、クレーム処理などが多く精神的負担が非常に多い仕事でした。そして、事務職の勤務時間も早朝6時半頃から10時過ぎ頃まででした。ただし、勤務時間に関しては面接時に文書などで規定されていたり、店長などの責任ある方から出社時間を規定される訳ではありませんでした。が、先輩社員などから、暗に早朝の出社を促されることが多かったのも事実です。つまり、サービス残業の間接的強制とも言うべきものです。

今なら超絶ブラック企業の認定確実

今でこそ、「コーポレートガバナンス(企業統治)」、「コンプライアンス(法令遵守)」、「労災」などという言葉が頻繁に叫ばれるようになり、ブラック企業はマスコミから強く批判される時代になりましたが、その当時はまだそれ程、日常的に逸脱した企業の勤務実態が報道されるような風潮ではありませんでした。

一般的には、勤務時間を管理するタイムカードは、勤務時間の定時が9:00~18:00の場合は、午前9時以前と午後6時以降にタイムカードを記録することになりますが、私が勤務していたその企業では、午前7時以降と午後9時以前にタイムカードを記録するように言われていました。タイムカード記録の規定で「~以前」と「~以降」の概念が異なりますね(笑)。

形式的に、休日は隔週二日制でしたが、実際には、仕事が貯まってこなせない場合は、休日出勤を促すような雰囲気がありました。そのため、休日出勤をした時間も考慮すると、1日平均15時間以上ではなく16時間以上働いていたことになります。

目標達成と同時にストレスMAXで退職へ

その上で、仕事内容もとんでもなくストレスが溜まる業務でした。物流業界では荷物の破損や紛失などは日常的に起こるものなのですが、そのような特例案件をクレーム処理として、顧客から受け付ける業務もしていました。電話越しの顧客は激怒して電話してくるため、そのような人の怒りを受け止め、なだめて問題を適性に解決しなければなりませんでした。

毎日毎日、そのようなクレーム対応ばかりしていると、精神的負担に耐えかねる事態になり、病気を発症してしまうものです。ほとんどの人が、病気を発症する前に退職していきますが、中には暴力事件を起こしてクビになるような人もいたようです。

私の場合は、約2年間の勤務で目標としていた貯金をすることが出来たため、同時に仕事へのストレスにも限界を感じて、仕事にも身が入らなくなり気が抜けた炭酸ジュースのような状態になり、会社を後にすることにしました。

経営者と組織風土の関係と企業を判断する基準

現在はブラック企業認定されている超有名な某飲食チェーン店の創業者も、私が以前勤務していた某大手運送会社で起業資金を貯めるだけのために働いていた経験があるそうです。彼はもう二度とあのような辛い仕事はしたくないと言っていますが、皮肉なことに、現在では彼が創業した企業が世の中からブラック企業として吊るし上げられています。

このことからも分かるように、創業者や経営者の経営理念は、その企業で働く職場環境にも反映されるものなのかもしれません。就職を検討する際の切り口はいくつかありますね。

  • 職種
  • 業種
  • 待遇
  • 勤務地
  • 勤務時間

そうして絞られた企業の中から、その会社が自分に合っている企業かどうかを判断する基準として、「社風」や「組織風土」も重要な要素になることでしょう。一般的には、経営者の理念がその会社の組織風土を醸成することが多いため、企業選びの際に、そのような企業なのかを知るためには経営者や経営陣がどのような考えなのかを知ることは非常に重要になると思います。ブラック企業に入社してしまわないためにも、入社前には入念な企業研究が必要ですね。