田舎での介護ヘルパーについて、農村の現場から現地レポートします。日本各地の郊外では、過疎化が進み田舎では人口が急激に減少しています。しかも、減少している人口の年齢層は、将来、その街の担い手となる若者たちです。
このような人口減少は今後も続くと思われます。人口が減少する過疎化の田舎で、なぜ介護ヘルパーの仕事にチャンスが見出せるのでしょうか。今回は、実際に、田舎で生活している現場で求められている人の需要に着目して、田舎での介護ヘルパーの仕事の可能性を考えてみます。
過疎化が進行する田舎の少子高齢化とその現状を知ろう
私の住む田舎では、60代半ば~70歳代~80歳代の高齢者の年齢層の人口が非常に高くなっています。そして、60歳前後の年齢であれば、まだまだ若い年齢層と思われるくらい高齢化が進んでいます。
そのため、集落の町内活動などの担い手は、60歳代の方が中心になります。もちろん、40歳代や50歳代の方がいないわけではないですが、非常に少なくなっているのが現状です。
実際には、少なからず在住している彼らは、まだ会社などに勤務していたり、自営業として仕事が忙しいため、町内活動などの町の担い手としては中心となりえないという事情もあります。そのため、高齢者が中心となり、何とか集落の活動が支えられているというのが現状です。
一方、子供はと言うと、両手で数えるくらいしかおらず、町内の小学校は、数年後には閉鎖になってしまうのではないかというくらい、非常に子供の人口が少ないのが現状です。
町を見渡しても、お爺さんやお婆さんが畑で草むしりをしている光景は常に目にしますが、子供がはしゃいで走り回っている光景は滅多に目にすることがありません。
高齢者にとっては簡単な軽作業が重労働になる!?
このような高齢者比率が非常に高い集落というのは、全国各地で増え続けており、今後も加速的に高齢化が進むことでしょう。そうなると、10年後には集落の存続も危ぶまれ、いわゆる「限界集落」が現実のものとなる日も遠くないことでしょう。
このような高齢者ばかりになってしまった市町村では、実は、人手が足りないという問題が起きています。高齢者をサポートする人材が足りないのです。つまり、介護に関わる人材や看護に関わる人材です。
また、体力がなくなった高齢者にとっては、ちょっとした家事でさえも困難なケースさえ見聞きします。例えば、少し重量のあるゴミを出したり、部屋や風呂場の掃除をすることさえ、足腰が弱った高齢者には、困難な作業になります。
実際に、先日、私がお願いされた手伝いでは、庭の少し大きくなった木を処分することを依頼されました。特に大した作業ではなく、チェーンソーで伐採すればよいだけの作業です。
そのような作業でも、80歳を超え、足腰が弱っている高齢者には、困難な作業になります。作業のついでに、庭先のガラクタや庭に生えている低木の剪定も少ししてあげました。
一般的に体力がある人であれば、なんでもない作業でも、高齢者にとっては、困難な作業になることもあります。
田舎では車の運転が出来なくなると移動手段が途絶える
最近、高齢者の運転ミスによる事故が急激に増えていますね。よく起こる事故として、アクセルとブレーキを踏み間違えてしまうことが原因の事故などです。その他にも、年を取れば視力も悪くなりますので、車の運転が覚束なくなります。
大都市に住んでいれば、電車やバス、あるいはタクシーなどの移動手段がありますので、問題ありませんが、田舎では車はライフラインの一つになります。
田舎では、何をするにも車がなければ、物事を進めることが出来ません。例えば、食料品などの買出しや病院への通院などでは車は必須になります。
そのような場合に、自分で車を運転できない高齢者は、離れて住んでいる子供に頼るしかありません。ところが、そのような子供が遠くにすんでいる場合は、非常に困ったことになる訳です。
この村には、移動販売車も来ませんし、インターネットさえしたことがないような高齢者にはネット通販の概念さえ理解できません。そのため、隣近所の仲の良い方に買い物を頼んで、町まで出かける時にお使いをしてきてもらうことも時にはあるようです。
買い物以上に、困ることは、病院への通院です。さすがに、病院の通院は、お使いのように代理で行くわけには行きません。偶には好意で病院まで送っていく場合でも、待ち時間や診察時間などで2時間~3時間くらい掛かってしまうことも度々あります。
こうなると、タクシーを利用するしかなくなりますが、週一回の通院で、全てタクシーを利用するとなると料金も非常にかさんでしまいます。数年後には、福祉タクシーの常設化が急務になるかもしれません。
高齢化が進む過疎の田舎で介護ヘルパーが出来ることは?
上記の通り、80歳以上にもなる高齢者ばかりの村では、生活の全ての面で人手不足になります。部屋、トイレやお風呂の清掃も出来ない、少し重いゴミ出しもできない、車の運転も出来ない、買い物にも出かけられない、という状況を想像してみてください。
わが村では、手伝うことが出来る人と手伝いが必要な人のバランスが、まだ崩れていませんので、現在は問題にはなっていません。今後は、高齢化が急速に進む5年後あるいは10年後には、このバランスが崩れることが予測されます。
そうなると、高齢者の生活をサポートする人手が足りなくなり、その村の担い手が逼迫するだけではなく、一人ひとりの日常生活さえも支障が出て来ることが予測されます。
介護ヘルパーの人材不足は、現在でも深刻ですが、今後は更に人材不足が問題となり、日常生活の全てにおいて人のサポートが必要になります。それが、村全体の世帯に一人づつ介護ヘルパーが必要な状況になることさえ考えられます。
少なくても10年後には、介護ヘルパーが一世帯に一人必要になる、そんな時代になることも十分考えられます。高齢者が一人住まいの老人が、介護施設に入所することになれば、いずれ、その家は空き家となるという、また別の問題が発生することでしょう。