フンザ料理から解明された肉食文化の弊害と不老長寿の秘密とは?

人間の食習慣と健康がどれだけ関係しているのか、という疑問を歴史上の2つの学術的実験を紹介することで、その結果から判明した事実をご紹介しようと思います。

一つ目は、第一次世界大戦中の時代に、デンマークの栄養学者が行った、肉食文化が人の健康にいかに影響を与えているかという実験です。そして2つ目に紹介するものは、不老長寿の村として知られていた、パキスタンのフンザ地方の食文化から人間の健康に対して必要な食物は何かを解明するような実験になります。

歴史が証明した!! 肉を摂取することの体への弊害

第一次世界大戦中、ドイツに取り囲まれ海上を封鎖され、食糧輸入が途絶えたデンマークでの、ある貴重な歴史的記録が残されています。

その当時、デンマークの食糧相で栄養学者でもあったヒンドヘーデは、当時席巻していたドイツのルブナーの栄養学説(肉食奨励)に真っ向から反対して、国内のブタをすべて殺し、その飼料を国民に配給しました。彼は肉一人分を得るには約4人分の穀物が飼料として消費されることを知っていたためです。

このようにして、デンマーク国民が肉食をしない質素な穀菜食に徹した結果、国民の健康状態が大きく改善され、慢性病は34%、死亡率は人口1,000人当たり11.5から10.4へと激減するという成果をもたらしました。

一方で、ドイツは菜食中心の食事を摂っていては戦争に負けてしまうと考え、スタミナをつけるために肉食中心の食事を奨励しました。その結果、病人は急増して、死亡者も増加して、結局戦争にも負けてしまったのです。

 

不老長寿の桃源郷・パキスタンのフンザ料理の秘密とは?

私たちの健康に、どのような食べ物が良い影響を与えて、どのような食べ物が悪い影響を与えるのか、を証明する一つの実験結果をご紹介します。

フンザ料理の不思議を解明する実験

イギリスのロバート・マッカリソン博士は、軍医としてインドに滞在していた時、世界の長寿地域として有名な、フンザ地方の食文化に目をつけました。

この地方は不老長寿の桃源郷として世界的に有名で、多くの人は150歳くらいまで生きると言われています。また、その地域の人々が負傷したり、病気になっても驚くほど短期間で治ってしまうということでした。

マッカリソン博士は、そのような治癒力は食べ物に起因するのではないかと仮説を立てて実証するために、マウスを使って実験をしてみることにしました。

マウスを二つのグループに分け、1つのグループはフンザ地方人が食べる食物を与え、もう1つのグループはイギリスの一般的な人が食べる食物を与え続けました。

このようにして、2年7ヶ月間、マウスを飼育してみました。マウスの2年7ヶ月間は、人間で換算すれば50年間くらいの期間に当たります。

実験の結果はいかに?

その結果は、フンザ地方人の食べているものを与えたグループのマウスは一匹も死亡することがなく、解剖しても、どこにも病気は発見されませんでした。

一方、イギリス人が食べているものを与えたグループのマウスは、酷い結果になりました。多くのマウスは、人に噛み付くようになり、飼育籠の中は弱肉強食の戦争状態となりました。

そして、生き残ったマウスは心臓や腎臓の衰弱、胃腸障害、神経障害、虫歯、潰瘍、眼病、無毛、皮膚病、貧血など現在、私たちが直面している現代病のオンパレードとなってしまいました。

フンザ地方の料理はどのようなもの?

それでは、その当時のパキスタンのフンザ地方での食事はどのようなものだったのでしょうか?

それは、粗麦の粉で作ったチャパティ、モヤシ、生ニンジン、生キャベツ、野生のアンズ、多量の清水、生牛乳、週一回少量の骨付き肉です。

イギリス人が食べていた料理は、白パン、白砂糖入り紅茶、マーガリン、チーズ、ハム、ソーセージ、ジャムなどでした。

イギリス食は、現代の日本人が食べているものとよく似ています。一方で、フンザ地方食というのは、いわば自然食品だということがよく分かるかと思います。

イギリス食の白パンや白砂糖には、おそらく漂白するための食品添加物が含まれ、そのほかの食べ物にも本物の素材ではない化学食品や人口香料などが混入してあったのでしょう。