食べたものの栄養素が健康のために、どれだけ身体に寄与するかは、体質と食事法に大きく関係しています。
つまり、栄養素の摂取効果は、栄養素を吸収できる体質と吸収できるような食事法かどうかに大きく関係しています。
今回は、体質と食事法が、栄養素の吸収効果を決めるということをご紹介します。
栄養素が高いものを食べれば良い訳ではなく食事法が重要
人により体質や食べ方が異なるため、たとえ食べた物が同じであっても、体に吸収される栄養素は人により異なってきます。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
その理由の一つは、咀嚼(噛み砕くこと)の度合いが異なることと、人によって消化液の分泌量が異なることに起因しています。消化液とは、口から出てくる唾液、胃で生成される胃液、十二指腸や膵臓から分泌される消化液などのことです。
これらの消化液は、分泌量だけではなく、消化液中の酵素の活性度合いも、人により異なっています。そのため、同じものを同じ分量食べたとしても、人によって栄養価が違ってきます。同じ分量の食事をしていても、太っている人と痩せている人がいるのは、上記もひとつの理由です。
以上から分かるように、例えばランチを食べに行った時に、レストランで表示されているカロリー表記や栄養分析表は、全ての人に等しく体に吸収されるものではないということを理解いただけると思います。
体質により栄養素の吸収効果は変わる
さらに、腸内細菌により、体に吸収される栄養効果は変わってきます。例えば、腸の中には乳酸菌が存在しますが、その乳酸菌の量や状態によってビタミンは製造されます。そのため、ビタミンを含む食べ物を、どれだけ多く摂取しても、乳酸菌の状態によってはビタミンが製造されないことになります。
あるいは、アノイミナーゼ菌はビタミンB1を分解する酵素を持っています。アノイリナーゼ菌は、肉食中心の食事や甘いものを常時摂取していると、腸の中でアノイリナーゼ菌が増殖してしまいます。
例えば、ビタミンB1を多く含む野菜は、以下のような野菜があります。
【 春野菜 】さやえんどう
【 夏野菜 】かぼちゃ、とうもろこし
【 秋野菜 】さつまいも
【 冬野菜 】ブロッコリー
これらの野菜をどれだけ多く摂取しても、腸の中にアノイリナーゼ菌が大量に増殖している状態であれば、体内に取り込まれたビタミンは、全て破壊されてしまうこともあります。
そのため、摂取された食べ物とその栄養効果については、食べ物にどれだけの栄養価が含まれているのか、ということだけではなく、その栄養素をどれだけ受け入れられる体質になっているか、ということの方がより重要になります。