柿渋を防虫剤や防腐剤の塗料として使用する場合の効果に関して、下記のような疑問点を調べてみましたのでご紹介します。
- 柿渋とは何か?(原料と成分)
- 柿渋が塗料として使用される理由は?
- 柿渋を塗料として使用する場合のメリットとデメリット
- 柿渋塗料の使用方法と必要な道具
- 柿渋塗料の口コミと評判・評価
柿渋とは何か?
柿渋(かきしぶ)とはまだ熟していない青い渋柿を圧搾した果実の汁を数年間、発酵させた赤茶褐色の液体です。渋柿はタンニンと呼ばれる水溶性化合物を多く含みます。
これが木材などの材料に接触すると反応して難溶性の物質を形成するため、防腐材の効果が生まれ、それと同時に防虫効果もあるため、昔から天然素材の耐水性塗料として使用されてきました。
つまり、渋柿の果汁には植物タンニンが多く含まれ、これを数年間発酵させ熟成させることで赤褐色の液体に変化します。柿渋は木材などの防腐剤として使用されます。
その他にも、衣類などの柿渋染めの原料として布に対して使用されるほか、和傘などの和紙にも使用されます。また、古くは民間薬としても使用されたとされています。
柿渋が塗料として使用される理由は?
上記の通り、柿渋は家屋や家具などの木製品によく使用され、その効果は防腐目的や防虫目的として塗料として使用されます。
その他にも、柿渋が使用される理由は、茶褐色の色合いが木材の独特の天然の素材を引き立てるため、デザインの一つとしても生かされています。
柿渋の原料の希釈度合いにより、赤茶褐色の色合いが濃くなったり薄くなったりしますので、使用する時には木目の色合いを濃くしたい時は濃い希釈液を使用するとより茶褐色の色が濃くなります。
また、時間が経てば時間が経つだけ、使用すれば使用するだけ、色合いに使用感が出るため、これはこれでレトロな雰囲気を楽しむことも出来ます。
柿渋を塗料として使用する場合のメリットとデメリット
一般的に、ペンキを使用した場合は水性塗料か油性塗料か、あるいはウレタン塗料かシリコン塗料かにより、塗り替えまでの耐久年数は異なりますが、5年~15年程度の場合がほとんどです。
それでは、柿渋を塗料として使用した場合は何年間くらい防水効果が保たれるのでしょうか?
風雨に当たる屋外か屋内か、あるいは木材の材質や温度や湿度などの地域差によっても異なりますし、2度塗りや3度塗りなどの塗り方によっても異なります。
屋外の場合は木材の品質を保つためには毎年塗り替えるのが理想ですが、2年ごとに塗り替えれば問題ない場合が多いです。特に、屋内の場合は風に晒されることもないですし、日光に当たることも少ないため、3年から5年以上、防腐効果が続くことも多いです。
このように、柿渋を使用する最も大きなメリットは、ケミカルフリーの天然素材を使用しているため、ペンキのような化学物質を含んだ塗料による健康被害を防げるというのが最も大きなメリットでしょう。それに、時間の経過と伴に木材の美しさを楽しめるというのもメリットの一つでしょう。
逆に、柿渋塗料のデメリットは、上述した通り、屋外の使用では耐久年数が短く、ペンキ塗料ほど長い期間は防水効果を望むことが出来ない点でしょう。数年毎に小まめに塗料を塗りこんでいく必要があります。
また、もう一つのデメリットは柿渋は発酵液のため、臭いが非常にキツイという点もデメリットとなります。ただし、塗装後10日間くらいで銀杏や糞のような臭いは消えます。ところが、無臭の柿渋製品もあるため、無臭柿渋を使用すればこのようなデメリットはなくなります。
柿渋塗料の使用方法と必要な道具
柿渋塗料の使用方法の特徴は端的に言えば、下記の通りです。
- 木材面をサンドペーパーで削る
- 原液を水で希釈する
- 刷毛で木目に沿って塗る
- ウエスで塗料を塗り込むように拭き取る(色むら防止)
- 半日から一日置いて重ね塗りする
- ワックスなどを上塗りする(必要な場合)
※ワックスや乾性油を塗ると撥水性が高まりますが、必ずしも必要ではありません。色むらを気にしなければ拭き取りも不要。
原液を水で希釈する場合は、1:1つまり2倍から3倍くらいに薄めて、刷毛で塗っていきます。半日以上経過して完全に乾燥してから二度塗りします。更に防水効果を求める場合は三度塗りをしてもよいでしょう。
二度塗りよりも三度塗りの方がより褐色の色が濃くなります。また当然ですが、原液を希釈する濃度が濃い程、塗り上がりの色は濃くなります。
柿渋と量に必要な道具は、下記の通りです。
- 柿渋の原液
- 希釈用の水
- 塗料用の刷毛
- サンドペーパー(180番以上)
柿渋塗料の口コミと評判・評価
◎ 数回重ね塗りしたら柿渋の色合いが良くなり仕上げに蜜蝋を塗った
◎ 柿渋の色合いが好きで使用することにしたが無臭なのが良かった
◎ 柿渋を保存する場合は容器の空気を抜いておいたら半年後も問題なかった
○ 一度塗っただけでは色合いが変わらなかったが二度塗りで褐色が出てきた