田舎暮らし希望者へ 田舎で有利な資格を農村在住者が解説します

田舎で役立つ資格について、農村部生活者の視点から、田舎の現状に即して本音で語ろうと思います。田舎暮らしに憧れて、都会から山間部の農村に国内移住を考えている方にとって、何らかの仕事に携わる際に、資格があったほうが役立つのではないかと考える方も多くいることでしょう。

そこで、実際の田舎での生活を基に、どのような資格が役立ち、どのような資格が役立たないのかを私の経験と田舎の現状から推測できることを簡単にご紹介します。

そもそも、田舎で生活をしていくためには、資格以上に重要なことがたくさんありますが、ここでは敢えて、資格だけに焦点を絞って、お伝えしようと思います。

田舎の現状を知ろう

まずは、田舎の現状を話そうと思います。日本の多くの農村部では、高齢化が進行して、高齢者の比率が高くなり、限界集落と呼称されるような市町村が増えています。

実際に、農村部で生活してみると、村落で生活している人のほとんどが60歳以上で、60歳台であればまだ若い方で、70歳代や80歳代の比率が非常に多くなっているのが現状です。つまり、田舎には、お年寄りしか住んでいないと言うイメージです。

田舎では、お爺さんやお婆さんしか住んでいないということを知った上で、田舎での産業と資格の関係を考えてみましょう。農村部での産業と言えば、農業と林業が最たるものです。

その他には、公共投資に関連した土木業や採石業などになります。それから、高齢者が増加している現状を踏まえ、郊外の山間部などでは介護施設が増えつつあります。

 

田舎で役立つ資格はない!?

一般的に、田舎で有利だと考えられている資格をピックアップしてみましょう。

医療・介護系

上記の中で、田舎で役立ちそうな資格はどれだと思いますか?
役立つか役立たないかという視点で言えば、全ての資格が役立ちます。田舎では診療所などに従事する医療関係の資格を持っている方が不足しているのが現状です。

それでは、なぜ不足しているのでしょうか?
単刀直入に言えば、田舎では儲からないからです。診療所であれば、人口がそれなりに維持できている集落では、医者一人と看護師一人の二人で何とか経営も成り立つかも知れません。

ところが、動物クリニックを田舎で開業しても、酪農が発達しているなどの特別な事情がない限り、獣医師などは十分な収入が確保できないのが現状です。

つまり、上記のような医師や獣医師の医療関係の資格であれば、田舎では重宝され役立つこともありますが、それ相応の収入が得られないことの方が多いのが現状です。

それでは、看護師や介護福祉士あるいはホームヘルパーはどうでしょうか? 看護師や介護福祉士あるいはホームヘルパーは、田舎では非常に役立つ資格所持者のポジションになります。

その理由は、上記でも述べましたが、高齢者ばかりの集落では、介護施設があったり、訪問介護などのサービスが必要とされているからです。

ガイド・インストラクター系

  • スキーインストラクター
  • 山岳ガイド
  • ネイチャーガイド
  • 森林インストラクター

上記のガイドやインストラクターと命名されている資格について、田舎の現状に即して考えてみましょう。単刀直入に言えば、田舎では必要とされていない資格です。

ただし、スキー場が近場にある場合は、冬場だけはスキー観光で潤うような状況であれば、スキーインストラクターは需要があることもあります。その他の山岳ガイド、ネイチャーガイド、森林インストラクターなどのような資格は役に立たないでしょう。

と言うのも、外部から新規に移住してきた人が、その村のガイドもインストラクターもできないでしょう。むしろ、地元のことは地元のお年寄りの方がよく知っているため、逆に教えてもらうことになるのは目に見えています。

資格試験で学ぶような机上の空論や答えありきの実技試験よりも、現実的に田舎で日常的に起こっていることの対応の方が重要なのです。

例えば、今現在、目の前にマムシがトグロを巻いて、頭を上げて尻尾を振って威嚇体勢をとっている場面で、どのように対処するかの方が100倍も重要なのです。

 

田舎で本当に必要で役立つ資格

実際に、田舎で生活する私が田舎では仕事や作業をする上で役立つと考える資格について、いくつか紹介します。

  • 猟師
  • タクシードライバー
  • 耕運機・トラクター運転免許
  • 各種重機免許
  • 介護福祉士/ホームヘルパー

猟師

猟師は、厳密には、「狩猟免許」になります。狩猟免許を取得するためには、「各都道府県知事が行う、狩猟免許試験に合格した上で、狩猟者として登録」する必要があります。

実際に農村部で農業などをしてみると分かりますが、農家にとっては害獣の被害が半端ない状況です。例えば、農業に大きな被害を及ぼす動物を下記に挙げてみましょう。

  • イノシシ
  • 鹿
  • ハクビシン

これらの動物から農作物を守るため、近年では獣害に対する国策として、電流を流す金網フェンスの設置が急速に進みました。それでも、農作物の被害は後を絶ちません。それくらい、害獣の被害が深刻だと言うことなのです。

特に、イノシシは田畑を荒らすため、捕獲用の檻を設置して対応しています。そして、捕獲された場合は、狩猟免許を所持した猟師しか、イノシシを殺めることが出来ません。そんため、田舎では今後とも狩猟免許所持者(猟友会)は重宝されることでしょう。

ただし、猟師の資格(狩猟免許所持者)を持って、狩猟を本業としてしている方は皆無です。生活できるだけの収入が確保できないのが理由です。多くの猟師たちは、林業や農業などの従事者で、兼業として携わっているのが現状です。

タクシードライバー

山間部の田舎で生活する上でなくてはならないものが、車と免許証です。この2つが名kれば、生活が成り立たないと言ってもよいでしょう。つまり、田舎では車はライフラインの一つということです。

過疎化が進んでいる農村では、電車もバスもありません。実際には、バスを走らせているエリアもありますが、朝と夕方の一日2本の運行というのが現状です。実際には、自治体の財政状況によってはバスは廃線になっている地域が多いです。

最近は高齢者の自動車事故が急増していますが、年齢が高くなれば車の運転にもリスクが伴います。高齢化が進む田舎では、車の運転をしなくなった(出来なくなった)高齢者は一つのライフラインを失うということになります。

このような状況を鑑みると、高齢化が進む過疎地の田舎ではタクシードライバーが重宝されるようになると思います。タクシードライバーの資格とは、「普通自動車第二種運転免許」になります。特に、福祉タクシーは将来的には需要が高まるでしょう。高齢化が深刻なムラでは病院へ通院するのも一苦労です。

耕運機・トラクター運転免許

以下の場合は小型特殊免許が必要になります。ただし、普通免許を持っている場合は、改めて小型特殊免許は必要ありません。そのため、普通自動車免許は田舎暮らしでは必携になります。

  • 最高速度 : 15km/h以下
  • 長さ:4.7m / 幅:1.7m / 高さ:2.8m

上記の速度あるいは大きさを超過する場合は、大型特殊免許が必要になります。

農業をする予定がなければ、上記のような免許証は必要ないですが、田舎ではライフラインの一つである普通自動車免許証は必ず必要になります。

各種重機免許

田舎での主要産業は農業と林業になりますが、特に、山間部では林業に携わることが多くなります。そのため、林業の仕事で必要とされる重機を運転することが出来る免許を持っている人材は需要が高くなります。

  • 大型自動車免許
  • 大型特殊免許
  • フォークリフト
  • 牽引免許
  • 移動式クレーン免許
  • 玉掛け
  • 林業架線作業主任者

その他にも特殊な建設機械を操縦する免許や資格がありますが、別記事で紹介したいと思います。

介護福祉士/ホームヘルパー

最後に、私が田舎で生活していて、最も必要とされていると思う資格は、介護福祉士あるいはホームヘルパーです。田舎で生活していれば分かりますが、若者は農村から出て行き、残されたのは体力の衰えた高齢者ばかりです。

この状況では、高齢者をサポートする「人」が最も需要が高くなります。もし、都会から田舎へ移住し、仕事を得て生活費を稼ぐ必要がある状況であれば、介護福祉士やホームヘルパーの資格を取得しておくことを強くお勧めします。